僕の中の十字架


ぼくは鳥肌が立つのを感じつつ、五年生の担任達の机に向かった。

ぼくのクラスは五年三組で、渡辺先生は四組の担任で、図書委員の先生だ。

いかにも体育会系な見てくれでありながら、読書を心から愛する文人という驚きの設定を作者が加えやがった。


「…………」


今も読書中のようだ。
ぼくは後ろから覗き込んだ。


「…………」


“魔女狩りの真実”ってすげぇシブイというか、マニアックというか、サエに似てるというか、ぼくは先生に話があるというか、早く図書室の鍵貰って帰りたいというか。


「あの――……」

「む?あぁ、おはよう」

「朝じゃないです」

「いいじゃん」

「………。図書室閉めて帰るんで、鍵を貰いに来ました」

「うん、ほれ」


渡辺先生は、ちゃりん、と輪っかに通された図書室の鍵をぼくの手の中に落とした。これでぼくはこのクソ寒い職員室から出られるわけだ。


「先生」

「う?」

「なんで職員室のエアコンって24度風量パワフル風向き自動という金かかる上に寒い設定のまま一夏フル稼働なんですか?」

「ああ……。何故職員室のエアコンが24度風量パワフル風向き自動という金がかかる上に寒い設定なのかというと………」

「……………〈ゴクリ〉」

「冷たい飲み物がぬるくなると困るだろ?」

「…………〈アングリ〉」

「ははは」

「く」

「“く”? く、く、くじら? しりとり?」


違います。

トライフリングです。

日本語で言うアレです。









くだらねぇよ!









なんだそれ!!そんな下らない理由なのかよ!


「宮崎? 何故先生を睨むんだ?」

「………別に」

「エリカ様か?」

「違います。じゃ、明日の朝返しに来ます」

「気を付けてな。――あ、司書の先生明日出張から帰ってくるらしいから、そのまま渡しておいて」

「はい」


ああもう早く出たい。
無駄に広いんだからもう。




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