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「………んぅえ?」
変な声を出しながら頭を持ち上げた。
「あれぇ?」
「おはよう」
顔を上げると、北村さんの無表情が目に入った。
「なんで?―――ぼく……っ」
体を起こそうと手に力を込めた。
手を見た。
自分の体を見た。
「なんで、ぼくは血まみれなんですか?」
なんで両手が真紅に染まっているんだ。
体は完全に無傷だ。
「知りたい?」
北村さんは相変わらず無表情だ。
「後ろに答えがあるよ」
富士原さんがぼくの後ろに居た。
ぼくが振り返ったのに気付き、左に移動してその先にあるものを見せてくれた。
「―――ひっ! ……――――ぐっ」
それを確認した瞬間、胃の底がカッと熱くなって、ぼくは口を押さえた。
気持悪かった。
両手の紅が遠く感じた。
紅―――………血の紅だ。
この紅はぼくの中にも流れている。
太い血管や細い血管に。
でも、これはぼくのじゃない。
あそこにいる人のだ。
風呂場の椅子に座り、両足を投げ出し、腕を浴槽の中に入れている。
浴槽には水が溜り、手首から先は水につかっている。
その水は真紅に染まっている。
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