「はぁ?」


「多分、ね」



意味不明な発言の後、なんと言うべきか解らないサエの前で、風呂場のドアが開いて



「あ、クロ……――――にゃっ!?」



見上げたサエに視界を閉ざす布地―――バスタオルをかけたクロエは、北村と富士原を見て、「やっぱり」という表情をした。



「むー!!」



バスタオルの上からサエに抱きついて自分の姿を見られない様にしながら、クロエは自分を見る二人に



「―――全部、僕です」



泣きそうな顔で言った。

両手は血にまみれていて、バスタオルに染み込んでいた。




「ごめんなさい………」



北村は双眸を鋭くした。ほとんど彼女の想定内だった。





「態とらしい演技は無しにしようか」


「え………」


「演技をするなって言ってるの。サエちゃんとその剃刀を放しなさい」


「そんな………っ!僕は――」


「煩い」



ピシャリと言ってのけ、悲しそうに自分に向けられた二つの瞳を見下ろした。






















「もう終わったから“戻りなさい”」




「―――――っ」










クロエの視界が暗くなった。
















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