僕の中の十字架


私は携帯をしまい、隣で寝ていた富士原をこづいた。



「に゙ょあっ!?」


「行くぞ」


「フェイ!―――何処に?」


「クロエ君がサエちゃんの―――………」



軽く説明すると、富士原のだらしなく開いていた口がパクンと閉まり、表情が険しくなった。



「順子さん」


「あ?」


「やめときませんか」


「はぁ?」



何を言い出すんだこの男は。


「だって、また人身事故チックなことがあったらこわ―――い!」


「こわ―――い! じゃねぇよ!! お前、自分が何言ってるのか解ってるのか!?」


「何言ってんだろう」


「解ってねぇのかよ」


「そんなの警察に任せましょうよ」


「お前警察じゃねぇか」


「え?」


「“え?”じゃねぇ!!」



こうなったら一人で行く。
私はだだをこねる富士原を尻目に立ち上がり、さっさと病院の玄関から外に出た。