中学時代の私は校則が厳しいせいで中途半端だった。
でも高校に入れば少しは緩くなるからオシャレができる。それが一番楽しみだった。
初めは化粧品を買いに行った。雑誌で良いものを調べて化粧下地、ファンデーション、アイライナー、マスカラ。家で何度も練習をした。県外に住んでいるメイクの上手な4つ上のお姉ちゃんが帰省した時にも教わった。徐々に自分でもできるようになった。
次に美容院に行った。私は癖毛でハネやうねりが気になったので縮毛矯正をあてた。
メイクに縮毛矯正。これだけでもずいぶん変わった。
更に制服のスカートを短くしたり胸元のボタンをはずしがっつり開いたり。その開いた胸元にはネックレスを付けてみたり、ピアスはジャラジャラしたものに付け替えたりした。
高校生ギャルみたいになった私。鏡を見て軽く笑顔で「早く入学式来い!楽しみ~!直樹に会える~。」

そして入学式。さすがに入学式はボタンもキッチリ閉めスカートの丈も直さされた。
1組から名前を順番に呼ばれていく。私は1組18番。6組40番まであるので結構初めの方に名前を呼ばれた。
「塩見裕子さん」
「はいっ」
少し声が裏返ってしまった。呼ばれる寸前に咳払いしとけばよかった~っと赤くなり一人ニヤけた。
そして直樹の名前が呼ばれた。5組らしい。教室ちょっと遠いけど会いに行くのを楽しみにしていた。
入学式も終わり教室に戻り担任が話をしていた。私は話を聞かないで教室をグルッと見渡した。私は人見知りで仲良くなれるか不安だった。この日は誰とも話すことなく帰宅した。
「あ~なんか疲れた…まぁ明日からは本格的に高校生だ!気合い入れてくかぁ」
翌日私は5時に起きた。メイクに2時間、朝食20分、駅まで10分。7時35分の電車で学校に向かう。学校には8時10分に着いた。8時40分までに登校だから来てる子は10人くらいだった。
「おはよ!」
教室に入ると山崎さんと渡辺さんに声をかけられた。「お、おはよう…」
ビックリしながら私は挨拶を返した。山崎さんは明るく女の子らしい子、渡辺さんはショートカットで小柄な地味な感じだけど美人な子。少し仲良くなれるか心配だったが私はそのまま席についた。後ろの席が女の子なのを前日確認していたのでその子と話をしようと思い来るまで携帯をいじったりして待っていた。