「なんだよアリサ。テンション低いな。なんかあった?」



「別になんにもないけど……」






「そっか。まあなんかあったら俺に話せよ。ほれ」


そう言うとしょーちゃんは手を出した。



「?」
なんかくれるの?



「はよ返せ(笑)」




「あっそっかごめん。ああああのー……」


「ん?」



言え!言うんだあたし!!!






「何でもない」



………。
それ違うよー。



体育着をカバンに入れたしょーちゃんは、友達と教室を出ていく……。




「ちょっとアリサ!『ありがとう』って言ってなくない!?」


ダッシュで走ってきた那南は小声であたしに言う。




「うん……。だけど」



「だけどじゃない!はい、言う!」




もう、い、言っちゃえ!

那南がくれた勢いで、あたしはしょーちゃんに向かって叫んだ。





「ありがとう!!!」