「えー、これは西洋の物語なんですが…」
今は国語の授業中。
後ろには那南がいる。
トントン…
あたしは背中を突かれた。
チラッと振り向くと、那南の手には手紙があった。
先生にバレないように手紙を貰う。
あたしはこっそり開けて読んでみた。
『アリサ、次の時間体育休むわ、ごめん!体育着忘れて来た(笑)。だから誰かとテニスやってね』
「えーー」
あたしは後ろを振り向き、嫌な顔をして見せた。
全く那南って馬鹿なんだから…−−−−って、あたしも持ってきてない!!!
『どうしよう、あたしもだよ!!!テニス今日テストじゃんね、やば!』
急いであたしは那南に手紙を渡す。
「ぶっ」
後ろから那南の吹き出す声が聞こえた。
『アリサ馬鹿じゃん(笑)。まああたしはテスト受けなくても単位取れてるからいいけど』
そうなんだよー…
あたしは数ヶ月前、足の骨を折った。
だから2ヶ月ほど体育やってない!!!
つまり単位取れてない!!!
だからテストやらなきゃやばい!!!
今日体育着忘れたから実技はアウト!!!
卒業やばい!!!
とかいう方向にまんまと乗っちゃったと。
「のんきに国語やってる場合じゃないよー」
ふと漏らした声に反応した人が1人。
「山梨さん?今なんて言ったの?『のんきに国語』って……先生の前で言わないでちょうだい!」
「ハイ…」
フンッと言って先生は授業を続けた。
もちろんこのあとあたしが先生に集中攻撃を受けたのは、言うまでもない。



