只今午前11時。
気付くと那南があたしの前にいた。
「おーい。アリサ、大丈夫ですかー」
那南…木更津那南(キサラヅナナ)は赤ちゃんのときからの親友。
同じ病院で生まれて、同じ村で育った。
「……大丈夫に見えますか」
一言口にしたあたしは、またぼーっと窓から外を見る。
「……大丈夫じゃないんだ。昇多なんか別にいいじゃん、席が遠いからって幼なじみなんだからいくらでも喋っていいでしょ」
正直那南はかっこいい。
サッパリしてるけど、相手の事はちゃんと考えてるし、的確。
彼氏のまあくんをうまく乗せることなんか、おてのものだ。
「そうだけどー、なんか最近イマイチしょーちゃん冷たいって何回言ったらわかるのさ!!!」
近くで友達と話してるしょーちゃんにバレないように、あたしは少し小さな声で言った。



