「やっやきいも屋だってぇえぇえぇ?!」


丹下は目を剥き出しにし、笑いをこらえるために自分の表情を必死にかみ殺したが、丹下の考えることをすでにジョーは見透かしていた。

「最初は大阪、そこから東に向かって海を越えてハワイへ行きます。」

「ぶわっはっはっ」

ジョーの壮大な発想に丹下はよだれを垂れ流しながら、嗚咽まじりに笑い転げた。

「ハァワァイィい?!ジョー、お前はそのまま焼き芋の屋台を引いて世界一周でもする気なのかぁ?!」

「よく、おわかりで」


「ぶひゃっぶひっうひっひぃっひいっひっ」


穴という穴から薄黄色い液体を吹き出し、
丹下はそのまま踵を返してジムの中へと戻って行った。




丹下さん、俺はボクシングから解放されたんだよね…


昔のようなたくましさの無い、脂肪を蓄えた丹下の後ろ姿を見送り
ジョーは振り返ることなく駅へ向かった