夢(ほし)職人ムムと悪魔の鏡

最近、奇妙な歌が流れている。こんな歌だ。

“悪魔の鏡に姿を映したら心は空っぽ、夢は消え、行きる気力も無くしてしまう。全て、空っぽ、空っぽ、お人形”……」


セルディは、眉をひそめました。



「そして、興味深い事に私の元に、生きるのがイヤだ。夢なんてない。楽に死にたい。

夢も希望もない空っぽの人形の様な人間、つまりその歌と全く同じ症状の方が後を絶たない」


カラスはセルディを見つめて言いました。


「そういった人間は、まず自分の殻に閉じこもる。そして、自分を傷つけ、また閉じこもる。悪循環だ。
そして依頼の大半が楽に死ねる薬を作ってくださいというのが多くてイヤになる。
出来なくはないが量が半端じゃないし、私は死にたいと言っている人間を楽に死なせる程、優しい人間でもない」


カラスは、すごく厳しい口調で言い放ちました。


「ましてや、私はカラスの身体を借りるくらい忙しい身、そのような下らない依頼は請け負いたくないんですよ」



「ふん、つまりはあたしらにその原因を探れって言いたいんだろう？」


セルディは、腕を組み直しカラスに問い掛けました。

「いやぁ〜物分かりが良くて非常に助かる。まぁ、場所はもう分かっているから、ちょっと代わりに行って来てくれないかね？」


カラスは心なしかどこか楽しんでいる様な口調でした。

「ふん、しょうがないね。これは、一つ貸しだよ」


セルディは、ニヤりと笑いました。