「窓を開けてくれてありがとう」 カラスはムムに言いました。 「いえ……」 ムムは一言だけ返事をして窓を閉めました。 「君も若いのに大変だね〜、セルディは人使いが荒いからしんどいだろう」 カラスは楽しげな口調で言いました。 「……あんたは、そんな下らない用件で来たのかい?」 セルディが不機嫌そうな声で尋ねます。 「なら、とっとと失せてくれないかい? じゃなきゃこの鳥今日の夜食にしちまうよ?」 そう言って、またワインを飲みました。 口の端から赤い液体がこぼれました。まるで、血みたいです。