ハイスクールラブ

真奈美は初めて紘季の気持ちを全身で理解できたような気がした。
くみこの母はひとしきり泣くと、弱弱しく顔を上げた。

「・・・でも、あなたを最初に見た時にドキリとしたわ。あなたのそのまっすぐな目が、春人とそっくりで・・・。あの子は間違ってると思うことを責め立てる時や、自分の意見を通す時、決まってそういう目をした。『お母さん、それは違うよ』『お母さん、僕はこう思う』・・・あの子の声が聞こえてきそうで・・・」

真奈美は目の前の、悲しみに暮れるくみこの母を見て思った。
やはり自分の行動は軽率だったかもしれない。人の不幸の中に入り込むことは、残酷なことなのだと痛感した。それでも、真奈美には間違ってはいないと思うものがある。

「・・・私、春人さんが生きていたことを感じたいんです。ちゃんとこの世に生まれて、生きたんだって・・・。うまく言えないけど、春人さんのこと悲しみながら話すだけじゃなくて、春人さんがどんな人だったとかどんなことが好きだったとか、明るく前向きに話すことも必要だと思うんです」

真奈美は感極まって目に涙を浮かべた。みんなの悲しみが押し寄せ、春人の死を実感したからだ。

くみこの母はわずかに頷いた。

「・・・あなたの言いたいことはわかるわ。時が経って、最初はお線香あげに来てくれた春人の友達も、今は誰も来てくれなくて・・・。私たち以外のみんなは、すぐ日常に戻っていくのよね・・・。あなたみたいに春人のこと全然知らなかった子が来てくれて、嬉しい気持ちもあるのは確かなのよ」

真奈美は頷いた。涙を拭いて顔を上げる。くみこの母はいくらかすっきりとした表情をしている気がした。真奈美を見て微笑んだ。

「なんだか・・・少し気分が晴れたわ。春人が死んでしまったことばかりを悲しんでいたけど、あなたが言うように、春人が生きてきた時間をもっともっと喜ばしく思えるようにならないとね。時間はかかると思うけど・・・」