思わず扉に手をついてしまい、ガタンと音が立った。
二人がハッとして離れる。
くみこが扉を向いて言った。

「誰?」

真奈美はくみこの挑戦的な瞳を見て、おもむろに扉を開けた。
真奈美が二人を睨んだ。
紘季が何か言おうとする前に、くみこが真奈美に近づいた。

「・・・広瀬さん、残念ね。」

真奈美に向かって微笑む。

「残念・・・?」

真奈美はくみこの笑みを見て嫌な気分になった。

「あなただけじゃないのよ。」

どきりとした。

(こいつ・・・!)

くみこは全て知っているのよといった表情で真奈美を見た。
紘季は何も言わず教室を出ようとした。

すかさずくみこが紘季の腕を掴む。

「紘季!・・・今日、行くから待っててね」

紘季は何も言わずにくみこの手をやさしく掴み、離れた。

真奈美は胸をかきむしられるような嫉妬を覚えた。

「藤くん・・・!」

紘季は真奈美の頭に手をポンと乗せて言った。

「藤代『先生』」

そして出て行ってしまった。

くみこがクスリと笑い、紘季に続き教室を出る。

真奈美は呆然とした。
くみこは『紘季』と呼んでいた。
「あなただけじゃないのよ。」と言った。

一体、あの二人はどういう関係なの!?

真奈美はその場に立ち尽くした。