ハイスクールラブ

「言いたかったら言えば。」

紘季は投げやりになって言っている様子ではなかった。

「・・・言ったら・・・先生でいられなくなるよ・・・?」

真奈美は強く言い返せなかった。

「・・・教師なんて、なりたくてなったわけじゃない。」

何もかも諦めたような表情で紘季は言った。
背を向けて店に戻ってしまった。

真奈美は驚いた。
学校での紘季は人気者で授業も楽しそうに行っている。

今、どうでもいいという表情をしていた紘季が本当の姿なのだ。
真奈美は昼間の紘季と夜の紘季の違いに困惑した。

『脅し』も通用しなかった。
真奈美はどうやっても紘季に近づけないのかと落ち込んだ。

真奈美の体には、まだ紘季の入ってくる感触が残っている。
二人で歌を歌った楽しいひと時、紘季の少年のような表情。


(もう一度・・・一緒に過ごしたいのに・・・)