ハイスクールラブ

「話があるんだけど!」

真奈美はいきり立って声を上げた。
紘季の隣に座っていたドレッドの男性が紘季を見て言った。

「誰?このコ」

紘季はため息をついてタバコに火をつけて吸い始めた。

「知らない」

その言葉に真奈美は頭にきて叫んだ。

「数学教えてもらってる広瀬真奈美です!藤代先生!!」

紘季以外がポカーンとした表情で真奈美を見つめる。

「せんせえ・・・?・・・って、おい、紘季、このコお前のとこの生徒かよ」

ドレッドの男性が呆れた声で言う。

「なに、この店、未成年入れていいの?ヤバイんじゃないの?」

ドレッドの男性に肩を抱かれているショートヘアの女性が笑って言った。

「紘季、さすがに教え子に手出したらマズいだろ」

茶髪の男が真面目な顔して言った。

紘季はタバコを灰皿に押し付けて消すと、立ち上がって真奈美の手をつかんだ。
真奈美は紘季が話す気になってくれたと喜んだ。
無言で店の外に連れ出す。

途端に手を離した。

「帰れ」

真奈美はせっかくここまで来たのに、それでも冷たい態度の紘季を睨んだ。

「嫌!話したいことがあるって言ったじゃん!」
「俺は何もない。子供は早く帰って寝ろ。」

そう言って店に戻ろうとした。

真奈美は悔し紛れに思ってもいないことを口にした。

「・・・言ってやる!生徒に手を出したって、言ってやるから!」

紘季は振り返って真奈美を見つめた。
何の感情も読み取れない瞳。

「言えば。」

真奈美は驚いた。