ハイスクールラブ

「お姉ちゃん、免許貸して」

ほとんど年齢確認されることは無いのだが、なんとなく持っていたかった。
真奈美は姉の美由紀に声をかけた。

「はぁ?あんたまたクラブ行くの?」

真奈美はお願いと手を合わせた。

「いいけど・・・ハイ」

そう言って美由紀は手を出した。

真奈美が不思議そうに手を見つめる。

「あんた、タダで貸しもらおうったってそうはいかないわよ。この前免許なくて困ったんだからね!」

真奈美は渋々千円を渡した。

「千円~??・・・まー、いーか。じゃ、はい。コレ。」

そう言って免許を渡した。


真奈美は早速念入りに化粧し始めた。
真奈美の両親は共働きで二人とも基本的に帰りが遅い。
大学生の美由紀が外泊が増えてきたのに合わせて、真奈美の外出に対する制限もかなり緩んできた。

初めて1人で『RAU』に行く。少し緊張したが、それ以上に紘季に会って言いたいことが沢山あった。

久しぶりに来たが、真奈美はすぐに居心地のよさを思い出した。
相変わらずの爆音。顔見知りの人が声をかけてくれるが、さりげなく挨拶だけしてかわす。


紘季を探す。
前に座っていたソファに座っていた。

(いた・・・・!)

ずかずかとソファに近づく。

「藤くん!」

ソファに座っていた全員が真奈美を見る。
紘季も驚いて見上げていた。