ハイスクールラブ


初めて学校で顔を合わせたのは、3年生になって、真奈美のクラスに初めて紘季が数学の授業で訪れた時だった。

真奈美はこっちを見ろといわんばかりに紘季を凝視する。
紘季がふと視線に気がつき、真奈美を見る。
最初は不思議そうな顔をしていたが、何かを思い出したようにハッとした。

真奈美がニコっと笑いかける。
瞬間、眉を寄せ下を向いてしまった。
次に顔を上げた時は普段通りの顔に戻ってしまった。

今度は真奈美が眉を寄せる番だった。

(何よ・・・それだけぇ!??)

真奈美は思わず声を上げてしまいそうだった。
当然といえば当然なのだが、それにしてもリアクションが薄すぎる。
自分はこんなに会えるのを楽しみにしていたと言うのに。

時折生徒たちとのやり取りで笑い声が上がる。
女子生徒たちの中には紘季が数学を教えてくれることを待っていた者も多かった。
真奈美だけが無愛想な顔で授業を受ける。

(いいモン!私なんてセックスしたんだから!)

あれから何度も紘季とのセックスを思い出していた。
再会の際は、きっと二人にしかわからない甘い視線を交わし合うに違いないと勝手に思い込んでいただけに、真奈美は悔しくもあり、悲しくもあった。

それからも学校で二人きりになれることもなく過ぎていった。
紘季はいつも誰かと話していたし、真奈美が声をかけても当然普段通りだった。

途端に先生と生徒の関係に連れ戻され、真奈美は地団太を踏む思いだった。

(もーーーー~~~ッ!!)

こんなことなら、あの時に携番やメルアドを聞いておくんだったと真奈美は心底後悔した。

どうにかしてもう一度紘季に近づきたい。
真奈美は1人ででも『RAU』に行くことにした。
きっと紘季はこのまま何もなかったように接するつもりに違いない。