結局、いろんなことを考えてるうちに1日が過ぎてしまった。

学校でもずっと上の空で授業は頭に入ってこないし、友達にも心配されたんだけど、何をどう説明していいのかわからなくて笑って誤魔化してた。


私は来栖さんをどう思ってるんだろう?
来栖さんっていつから私の事が好きなの?
どうして私の事が?
昨日の事、ちゃんと謝った方がいい?
でも来栖さんの態度とか、言い方も良くないよね?
だいたい来栖さんてば…

なんて考えてるうちに論点がずれはじめていることに気付いては、最初から考えはじめてまたずれる。
そんな感じで全然話が前に進まなかった。


それは家に帰って、夕食の準備をしていても続いていた。
夕食さえ上の空で作っている最中にインターフォンが鳴り響きビクッと身体が震えた。
テレビを見ていたお兄ちゃんが、玄関に向かい扉を開けると、『澪ちゃんいる?』という来栖さんの声が、キッチンまで聞こえてきた。

その声を耳にした途端に包丁を取り落としそうになってしまう。

そして咄嗟に足を一歩踏み出し、逃げ出そうとしていた。
でもすぐに自分の部屋へ行くには玄関を通らなくちゃいけないと気付いて動きを止める。