ゆっくりと慎重になぞりながら、この時間が止まって欲しくなった。 「私のなぞったトコ…下手だ」 少ししょんぼりした声が、すぐ近くから聞こえてきた。 「…よし!完成だな」 全てなぞり終わった俺はペンを置いた。 「まだだよ!」 「えっ!?」 「…私の下手なトコも…なぞっといて欲しい」 そんな可愛く言うとか やっぱり杉浦ズルイわぁ 「そんな必要ねぇーよ」 俯いていた杉浦がパッと俺を見た。