時間と列車は止まることなく進んでゆき、気がつけば最寄りの駅に着いていた。 電車を降り、俺は軽く深呼吸をしながら周辺を見回した。 古びた広告が貼り付けられた壁が続くホームに人の姿はなく、ひんやりとした空気が漂っているだけだった。 駅を後にし、俺は広い田んぼ道を歩くことにした。 駅から実家までの道のりは遠いはずなのに、今日はやけに短く感じた。 ───── 「ねぇ、見て」 何か見つけたんだろうか、亜紀はちょこちょこっと走り出した。