23時の情熱

「なんちゅう顔してんねん。別に怒ったりせえへんわ」



怒って…ない……?



トーンを落とした声で、
「それくらいの事で怒る程、俺は器小さないで。ええんちゃう、たまには。」



……怒んないの?



怒ってくれないの………?


拍子抜けしたような、物足りないような。



終業のチャイム。

微かに微笑み、給湯室から立ち去る。




理不尽な、怒りにも落胆にも似た感情に胸を押し潰されそうで、しばらくその場に立ち尽くしていた。