23時の情熱

次の日。


退社時間が近づき、同期の千春と給湯室で先輩達の湯呑みを洗っていた。

千春がデスクを拭いてくる、と台拭きを手に先に給湯室を出た。



……さっさと終わらせて帰ろ。玄さんからメール来てないかな…。


ポケットの携帯を出そうと洗い物から手を止めると、

「お疲れ」



声を掛けられた。

聞き慣れた声。


驚いて振り向くと、玄さんがいた。慌ててタオルで手を拭く。

「あ、お、お疲れ様です…」

ドキドキしていた。
会社で声を掛けられるなんて思っていなかった。




……???

なんだか不機嫌そうな顔。