その晩玄さんが部屋に来た。




「…すれ違った?いつ」


やっぱり気づいていなかった。

「2時頃かな。1階のエレベーターの前。男の人3人くらい連れてた」



「……ああ…」

思い出したのか、何度も頷く玄さん。

「…そん時連れてた若いのが言うてた。今すれ違った女の子めっちゃ可愛いかったぁ〜て」



ニヤニヤ笑う玄さん。

眉間にシワを寄せて言った。「…で?なんて言ったの、玄さんは」



「ん〜そぉかぁ〜?て」

相変わらずニヤニヤ。




「え、そんだけ?」