玄さんとの、このいつまで続くか分からない関係に、不安が無い訳じゃなかった。
キャバクラを辞めてしまっている今、約束や予定は彼の都合に合わせるしかない。もちろん、家族が最優先される。次は仕事、そして私。


『お盆には帰ってきてね』

玄さんの部屋で見た、子供たちからの暑中見舞ハガキ。

写真の中の男の子は玄さんによく似ていた。

太めの眉毛に通った鼻筋、二重の目を眩しそうに細めている。

女の子の方は笑っていたが、男の子は写真を撮られることが恥ずかしい年頃なのだろう、少し照れた様な表情で口元にだけ笑みを浮かべていた。

この二人に、彼は
“お父さん”と呼ばれているのだ。