「本気になったら負けよ、不倫は。今はいいかもしれないけど、奥さんにバレて修羅場になんてなったら男はすぐに愛人の元から逃げ出すに決まってンだから」

……バレたら、か…。

「馬鹿な約束とかしちゃう前にサッサと手切りな。泣く目みるのは瞳子だよ?」
「…なに馬鹿な約束って」


「“嫁とは別れる”とかそーいうことよ。わかった?信じちゃ駄目よ?」


渚の言う事はいちいち正論で、私が本気だという現実を確実に見抜いた上での説教だった。


ナニよ、自分だって彼女のいる男ばっかり好きになるくせに…


口には出さなかったけれど。