私たちは歩いて地下鉄の駅へ向かった。
彼とは方向が違うので、私が乗るホームまで付き添ってくれた。


最終電車。

ホームは人も疎らで、皆疲れた顔をしている。歳の離れたいかにも訳ありの男女を気にする人など誰もいない。

明るく振る舞う私とは対象的に、何故か彼の口数はどんどん減っていく。

これ以上話しかけるのも躊躇われて、私まで口を閉ざす。


地下鉄のアナウンス。

暗闇から二つの灯りが近づく。灯りはホームに滑り込む。
一歩踏み出したその時。