私に隠れて奥さんに電話していた。 『ほっとけ』、って言ってたくせに。 ――――ううん、隠れて電話してた事に腹がたったんじゃない。 『真っ直ぐそっち行くわ』 ―――日本に着いたら真っ直ぐ大阪行くわ―――― そういう事でしょう? 出張から帰って来たら、私より先に家族に会いに行くって事でしょう? 仕方ない事だって頭ではわかってるけど、いざ彼の口からそれを聴くと切なさに胸が押し潰されそうになる。 現実に引き戻される。 視線を感じたのか、玄さんが振り返った。 「……瞳子」