「頭ん中で俺の事呼んでたやろ」
微笑む彼はやっぱり悲しそうで。


「……俺あん時、飛び込んでっておまえの事守ってやりたかった。…あの後でもすぐ駆けつけて慰めてやりたかってん」



目頭がジン、と熱を持つ。


「そやけど……できんかった。
後悔したで。見てたのに何もしてやれん。………なんや無性に自分に腹立ったわ」


涙が一粒こぼれ落ちた。




泣いてしまうと何だか玄さんを責めてる様で嫌だったのに、やっぱり涙は止まらない。

玄さんがゆっくりと私を抱き寄せる。



「……ゴメンな。こないだも今日も。何もでけへんで」


そんなことないと首を振る私の顔を両手で包む様に、そっと優しくキスをする。


誰もいない暗くなった屋上で、私達は何度も何度もキスをした――――。