23時の情熱

玄さんがチラリと私の表情を窺う。


微笑んだつもりだったが、思い切りひきつってしまった。



泣きたかった。

早くこの場から立ち去りたかった。



玄さんが心配そうに私を見ているのがわかる。



―――心配しなくても、皆の前で何も言ったりしないよ。


―――大丈夫、泣いたりしないから。



玄さんの目が、ゴメンと言っている。




―――そんな目で見ないでよ。可哀想じゃないから、私。




―――玄さんは悪くないんだから、そんな顔しないで。



―――そう、玄さんは悪くないの。悪いのは、私なんだから。

あなたを好きなった、私が悪いの――――。