パシッ、という乾いた音が誰もいない高架橋の下に響いた。 「………なんで左やねん。遠慮せんで右で叩けや」 納得いかない様な顔で再び私を見つめる。 だって………。 迷ったが、今度は思い切り右手で左の頬をひっぱたいた。 右手の手のひらが熱を帯びて、熱い。 「……〜ってぇ〜。ホンマ遠慮ナシやな、今度は」 ――――やっと、笑ってくれた。 「…たいしてすっきりしてないけど」 ――――私も、笑った。