差し出された手を取るとゆっくり引き寄せられた。


「おまえにそんなこと言われると戸惑うやんか。どないして欲しいねん」

片手を繋いだまま、イスに座る玄さんの脚に挟まれる格好になった。
こんな近くにいながら玄さんの目を見れない。


「今日はずっと瞳子の事考えとった。仕事ははかどらんし会議には遅刻するし」

顔を上げた。やっと、目を見る。


「……ええんか?俺が瞳子に男と呑みに行ったりすんなて言うても。瞳子のする事に口出ししても」


胸が熱くなる。
涙が溜まるのがわかった。

私をジッと見つめる玄さん。



「…そんな風に思ってくれてるの?」


「大事にしたいねん、おまえの事。そやけど俺やとおまえ傷つけるばっかりやろ?
それくらいならもっとほかにエエ男見つけた方がおまえの為やて事ぐらいわかってんねん」



我慢できずに涙は零れた。