「ありがとう!」

 私は頭を下げた。


 「いや、大したことしてへんし。」


 「でも、拾ってくれた上、息切れるまで走らせて届けさしてしもたし、どうお礼したらいいんか…」


 「お礼とかいいって。メタボから運動せなあかんねん。」

 男の子は笑ってお腹の肉を摘んでみせた。


 「そんな事より家帰るんやろ?駅まで送るわ。」


 「えっ!?いいよ、そんなん。一人で帰れるし。」

 私は慌てて断った。


 これ以上迷惑かけられへんわ。


 「いや、暗いし送るで。」


 「いいって大丈夫やって。気にしやんといて。」


 男の子は急に真面目な顔した。


 「いや、送る。」



 ドキン



 胸が鳴った。