そう言った伊藤君は、


「雨キツくなってきたし帰ろうか。」


「うん…」



さっき、伊藤君は私の泣いている姿で何も出来なくなったらしい。


ごめんね、伊藤君。そして、私と心の事内緒にしてくれるって…

ありがとうね。


襲われておきながら人を好きになる気持ちがわかるから、伊藤君も辛いと思うの。


鞄を持ちながら、伊藤君とトボトボと靴箱に向かっている。


二人、無言のまま学校の玄関を出ようとした。


「傘忘れちゃった。」


と言って私に、


「俺の傘使えよ。」


と、差し出してくれたけど、伊藤君が濡れちゃうじゃん。


「俺はいいの、電車で帰るから」