僕は、美術館の白い壁を見ると、ほっとして座りこんだ。

僕のポケットから、古ぼけた紙がはみ出していた。

それを開いてみると、『大はしあたけの夕立』という文字の書かれた木版の絵だった。

ちょうど、僕が江戸時代に行った時の光景とそっくりだった。

目の前の『蛇使い』という絵の中の男が、僕に向かって微笑んだ気がした。