「くそっ!うぜぇな!!もういい!俺がその赤ん坊を持ってやるから早く吊り革をつかめ!!!」
左藤のこの発言に女性は納得したのか、すぐにおぶっていた赤ん坊を服ごと左藤に渡し、何食わぬ顔で吊り革を掴んだ。


「みっくん、やめて!!そんなことしてみっくんが落ちたら…」
「アヤ、心配すんな…。」

左藤の顔に先程までの勇ましさは伺えない。左藤はこのとき内心、大変なことを言ってしまったと後悔していた…





これで乗客全員が吊り革を掴み、ラインからはひとまず安堵の息が出た。




……でもまさか…

こんなのウソだろ…?




半信半疑で皆、吊り革にしがみつく。





しかし、このあと彼らはとんでもないゲームをすることになる。



遂にタイマーが「0」を示し、その瞬間、床、壁、天井、座席など鉄棒と吊り革以外はすべて外れ、一瞬のうちに もぬけの殻と化した。






「ゲームスタート…」
アナウンスは静かに流れた。











1両目…ゲームスタート…