「一体何してんだ!?早くつかまれ!」
江口が吊り革を両手で掴みながら言う。


「ふざけないでよ!!あたしには、この小さい娘がいるのよ!この子を抱きかかえてぶらさがれるはずないわ!!」

「それでもやるしかないだろ!助かる方法も考えてはいるが、まだ答えが見つからない以上吊り革にぶらさがって耐えるんだ!それにもうあと数秒で動き出すんだぞ!?」
「こんなの助かるはずないじゃない!こんな不利な状態で生き残ることも無理に決まってるでしょ!!そうやってあたしたちを見殺しにするつもりなんだわ!?」

彼女の声や発言はだんだんエスカレートしていく。




キィイイイイィィィィ…!




遂に高い音が鳴り響き、電車が動き出した!


電光掲示板には『1:00』と表示され、今度は耐久レースが開始するまでのカウントダウンがはじまった。



「は…早くするんだ!!」
江口が必死になって呼びかける。


「この見殺し共め!!もうこうなったらみんな死んでしまえ!!!」