「…おい!んじゃ運転席に隠れてんじゃねぇの!?」
そういうと斑目はキレた表情を浮かべて運転席の方へ勢いよく向かい、乱暴に運転席の中をくまなく探りだした。
操縦席に蓋がついているのではないかと思ったらしく座席部分を強く上へ引っ張った。
しかしギーギーと今にも壊れそうな音を立てるだけで何もなかった。

天井もなめまわすように見たが何もない。

「…あん!?」
操縦席の足元の奥に黒い鞄があった。何のためらいもなく鞄を開けると…


「…どうした!?」
斑目の動きが止まったのを見て乗客が一気に集まりだす。

「……くそっ!……どうゆうことだ!!」
斑目が開けた鞄の中を覗くと車掌がよく着ている黒い服と笛が入っていた。


「…恐らくどっかに逃げたんだろう…。」
中津がため息交じりに言った。


「……いや…違う…!」
「…ん?」
坂下の言葉に運転席から離れようとする皆が振り向く。

待て…!何かがおかしい…!…ホームはずっと見ていたはずだ…
「…そうだ…!…私はホームは見ていたんだよ…!」
「…だから何なんだよ…!」
斑目に睨まれているのが分かった。