東海駅を通過した。電車はぐんぐんスピードをあげている。

しかし小山田がそれを忘れさせるようなことを突然話し出した…。

「…私…この電車に乗る前………………………………車掌のような人が運転席に座ってたのを見ました…!」
車内は一気に小山田の話に聞き入った。
ガタンゴトンという音と電車の揺れがはっきり伝わる瞬間だった。
「…マジかよっ…!」
「…カオリ…、ホントなのそれ…?」
「…うん…。」
「……それで…!それで何かしていなかったのか!?」
中津も必死にその話に耳を傾ける。
「…なんか席に座って機械の点検をしているようでした……」

「…待ってくれ…!」
坂下は冷静になって記憶をたどっていた。
「…な…なんなんだ…!?」
麻倉が驚いたように聞いてくる。

「……確か私がホームを見たとき車掌らしき人なんかいなかったぞ…!?」
「…なんだって!?」
「…っというか結構長い間ホームを見ていたんだけど、一度も車掌の姿が見えなかった気がする…!」
「……ホントなんだな…?」
「…えぇ…。」

乗客全員が難しい顔をしはじめた。そして先程まで黙っていた斑目が再び立ち上がった。