「…ふ…ふざけるな…!俺たちはここから出られねぇじゃねぇかよっ!!」
斑目がかすれた声で言い放つ。

「…では停め方が気になるお客様のためにルールを説明させていただきます…。ゲームは約1時間、勝田駅から終点のいわき駅までとなっています…。列車は正しく操縦していただければ停車致します…。しかし終点までに停めていただけなかった場合は、列車はそのスピードで建物へと突撃致します…。命の保障はございません…」
「……列車が……列車が停まれば…俺たちは助かるのか……?」
斑目が質問する。
「…ええ…もちろん…。………………………………まもなく最初の駅『佐和駅』へ到着致します…。」
遠くに佐和駅を発見した。ホームには誰もいない。考えただけでも不気味だった…。

「…佐和…佐和…。終点まであと15駅です…。お降りの際は命の落とし物にご注意ください…。次の駅は東海です…」
佐和駅の通過と共に無情なアナウンスが流れた。

その瞬間、中年の女性が大声をあげた…。
「わぁーーーっ…!!!…もう…耐えられない………耐えられないわ…!!」
女性は狂気に満ちた…。
「…お…落ち着け…!!」
女性を止めようとしたが、頭を抱えたまま車内を行ったり来たりして最終的に床に倒れ込んだ。
「…う……うっ………」

坂下はすぐに駆け寄って女性の肩を掴み、意識を確認した。
「…大丈夫ですか…!?」
女性はボサボサになった髪の間からこちらを見て、わずかに微笑んだ。
そして…!




ドサッ…!
「おっ……おい!大丈夫か!!しっかりしろ!」
ぐったりと腕に女性が倒れ込んできた。
「………大丈夫だ…。ちょっと気を失っているだけだ……。」
中越がめんどくさいような口調で話した。私は身体が一気に熱くなるのを感じた…
「…なんだ今の言い方は!!」
その声に車内の視線が集まった。中越もゆっくり振り向く。
構わず私は叫んだ。
「…人が倒れたんだぞ!!少しは気にしたらどうだ!!」
「…気絶してるだけだろ…。どうしろというんだ。」
落ち着いた口調で正論を語られてしまい、言葉が一瞬続かなかった。
無理矢理話を再開する。
「……だ…だから…!…あなたがそうして冷静でいられる感覚がおかしいっていってるんだ…!」