涙が止まらなかった…。
彼女のおかげで大切なものを失いかけていたことに気付かされた。彼女の前向きな姿は、あの時電車の中で見せた姿とまったく違っていた。いつの間にか自分より強くなっていた…。

がんばらなくちゃ…


柄本は工事現場で働いていたがやはり続かなかった…。3つ目の工事職だがそこでも…。
そろそろ分野的にも転職しようかと思いはじめている。


非常に家族思いな美神も無事助かり、家に着くと家族で幸せな団らんのひと時を過ごした。家に着くなりすぐ泣いて妻や子供たちを抱きしめた。
その後は彼のその日に起きた出来事の長い話が始まった…。


大嵩は今でも皮膚科の医師を勤めている。彼の腕が高く評価され、東京への転勤の話もあったが自分の居場所は地元だけだと述べて話を断った。
彼は地元の街の人たちを心から愛していた。
今度 父親の紹介でお見合いをすることになった。相手は非常に綺麗な人で大嵩は写真を見ただけで一目惚れした。次こそは自分の喋り癖を直すことを誓った…。


3両目にいた木南の同級生の上原、榊原、遠山の3人は彼女の死を未だ悲しんでいた…。上原の場合、木南が爆発に巻き込まれる瞬間をその目で見てしまって 頭からその映像が離れなかった…。
木南のお墓に来ては3人とも長々と泣いて帰っていった…。

なっちゃん……。なっちゃんのこと守れなくてごめんね……。あたしたち なっちゃんのこととても好きだったよ…。一生の友達…忘れないからね…。

白井の母親 智子は1番線のホームで一番泣き声が大きかった…。その光景を見るのはとても胸が痛かった…。
たった一人の愛する我が子の命がいとも簡単に飛ばされてしまった…。その苦痛は何にも代えることはできない…。
現在はその頃よりは落ち着いたが、一日の終わりに家に帰ってもあの元気な笑顔で『おかえり』と言う姿がないとまた思い出し、涙を流した…。

どうか…また……。

智子はナイフを自分の胸に強く突き刺した…………



そして永沼は電車から出るその隙に逃げ出そうとしたがそれを察した吉田が彼を捕まえた。
松川がいない今、人に頼っている場合じゃない…。松川の死を無駄にしないよう徹底的に目の前の犯人を突き止め捕まえることを心に決めた。