全然すまなくなさそうな言い方でそう言い、笑った。彼は笑いながら、言葉を続ける。
「君の父方の祖父、司狼さんが本当は大叔父だって事は知ってるよね?」 知ってはいた。祖父母の間に子供ができなかったので、甥の父が養子に入ったのだと聞いている。でも面倒なので、説明もしない。
「僕にとっても、司狼さんは大叔父だったんだ」 懐かしそうに、だが彼はあっさりそう言った。他の親類は祖父の事を話す時、過去形にならないよう、気を付けていたのに。
「だから、僕達は“はとか”なのかな?」―
 こんな始まりだったから。だから、気を置く事がなくなり、ため息がなかったのか。
 今更ながらそういうことに、思い至った。