薄暗い部屋の中、眠りから目覚めると振り子時計が鳴っているのに気が付いた。まだ夢から抜け出し切れていない頭に、静かに響いてくる。見えないが、音の数で時を知らせてくれる時計。だいたい今は何時なのだろう。
 ボーンッ……ボーンッと1回、2回、3回。まだ、鳴り止まない。どうやらだいぶ、時間が経ってしまっていたようだ。「仕方がない、起きるか」
 ゆっくりと、自身に言い聞かせるようにして呟く。この家の主、祖父の口まねだ。5年前にここを去った今もまだ、気配を残している祖父。だから私は、間借りさせてもらっているうちは、それに合わせようと思っている。
 この、静かな気配に。