「ごめんなさい」


俺が神妙に頭を下げると、陶子さんはとたんに吹き出し、声をあげて笑い出した。


あれ?なんか、今日の陶子さん、機嫌いい?


今まで、こんな風に腕を組まれたことなかったし。


今日の陶子さんは、白い半袖ニットとカーデガンに鮮やかなブルーのフレアスカート姿で、実年齢より若く見える。


昨日おとといと実用一点張りの登山服姿を見慣れていたせいか、なんだかやけにまぶしい。


しかもこんな誰もが振り返るような美人の陶子さんと腕を組んで歩くのは、ちょっと緊張する。


しかし、こっちの気も知らないで、陶子さんは上機嫌で駅前のファッションビルに俺を引っ張っていった。