……わたしは、黒焦げのイモリの死体に向かって、何も握ってない人差し指を何度も動かす男を横目で見ていた。

 わたしは、彼に狂っていると思われているもの。そう、魔法使いだ。

 彼はわたしを狂っていると思い、いまや、わたしは彼を狂っていると思っている。
 いや……。
 ただ世界の捉え方が違ってしまっただけで、気が狂ったなんてひどいことを、思うべきではないな。

 まあ、いい。

 それにしても、二十三世紀とは、とっぴな発想をするものだ。

 わたしは、魔法で彼の想像力をほんの少し、増大させただけなのだが。

 わたしは、出てこいこのやろう、それっレーザーガンだ、などと呟いている捕縛士をそこに残して、その場を後にした。

 ああ、そうだ言い忘れた。もちろん、いまは十五世紀、剣と魔法がはびこる世の中だ。

 僕は……、
 わたしは魔法使いという、なんの脈絡のないつまらない話を読み終えて、一つ大きく伸びをして言った。

「はぁー、しっかし、どいつもこいつも狂ってやがるな。ところでいまって何世紀だっけ?」