「タケ、いるの?」

鍵が空く音がして、彼女が入ってきた。


「やっぱり寝てたんだ。何で電話に出てくれないの」

「……」

健人が何も答えないでいると、彼女はため息をつき、
「もういい加減にちゃんとしてよ。
23なのよ?周りはみんな社会人になってるのに…タケ全然変わらない」

「説教しに来たなら帰れよ」
健人は頭をかきながら答えた。

すると、彼女は泣き出した。

(まただ…)

「泣いたって俺は変わらないよ」
煙草をくわえ、健人は正直面倒臭く思った。

「そんな、久しぶりに会うのに、そんな言葉酷い!電話もメールもくれないで、私のこと、もう愛してないの?!」


「……」

「どうなの?ねえ!」

彼女は少し聖美に似ていた。
けれど社会人になって変わってしまった。

「別れよう」

彼女は息を飲んだ。

(…あ、もう時間だ)

「悪いけど、もう出なきゃ」