「宮本、お前、どうしたんだ?」

塾の講師が健人を呼んだ。

「へ?どうしたって?」

「この前の模試、前回より二つもランク上がってる」
「え?二つだけ?」


「二つだけって…」

「先生、僕、第一高校受けることにしたから」

「え?第一?!」

健人はそれから毎日猛勉強していた。

こんなに勉強したことは初めてで、母親や友達に気味悪がられた。

第一高校を受験して、少しでも多く聖美と会う機会を増やし、
気持ちを振り向かせたい、そんなことしか今の健人には思い浮かばなかった。


嫌いな受験勉強をしなければならないが、
このまま卒業したら聖美と会うことが出来なくなることを考えると、
全く苦にならない。