部屋に何とも言えない 鼻を刺激する匂いが 立ち込めて私は窓を開けた。 塗ったばかりの 赤いペディキュアが 剥がれないように そっと立ち上がり 窓をあけると 生温い空気が 横を通り抜ける。 窓からみえる 見慣れた景色は 妙に私を落ち着かせる。 ―また夏がきたな。 そう思うと、 何か大きな期待が膨れるような それでいて とてつもなく憂鬱な気分が 私を襲った。