俺はその危機的状況という言葉に過敏に反応した。


「ま、まさか、もうすぐそこに悪魔が来てるとか?」


俺は内心、アメリアがまたまたビンゴッ、などど言わないかとビクビクする。


「大丈夫よ。悪魔は私達より遥かに‘‘記憶’’には鈍感だから」


矛盾している。記憶をエサにしているのにそれに鈍感なのか。


「実はここ最近、私達の次元で異常事態が起きたの。まぁ、私達の管理が甘かったというのもあると思うのだけど」


アメリアは若干不安の色を顔に覗かせる。


「どんな異常事態なんですか?」


「悪魔たちが一体どこにそんな記憶を隠していたのかは不明なんだけど、大量の記憶を用いて‘‘時の支配’’を始めたのよ」


「は?」


思わずそんな挑発的な言葉を発してしまった。


「は?じゃないわよ。これはとっても深刻な話なのよ?ふんっ、まだまだ時間という概念に乏しいあなたがた種族には理解に窮するのかもね」


なんだか馬鹿にされた気がする。


「この世界の時間に当てはめると、そうね……ちょうど一週間の内2日間を悪魔に支配されたことになるわ」


あっさりと言ってのける。が、何を言っているのか全然だ。


「じゃあ、土曜日と日曜日は悪魔の日にでも祝日制定でもされたんですか?」


「バカね。そんなほのぼのしたもんじゃないわよ。真面目な話、悪魔に‘‘時間’’を奪われたの」