午前7時40分に携帯の目覚ましを設定していた。


携帯から音楽サイトからダウンロードした曲が流れる。けっこうな音量。


俺は目も開けずに手探りで枕元の携帯を掴み、目覚ましの、朝には不釣合いなポップな曲を停止させた。


予備校はいつもより遅く始まるので、もう少し眠ることにする。


「一体何のためのものなの?それ」


という、俺の部屋にあるまじき、聞きなれない女性の声に俺は飛び起きた。


ベッドから半身を起こし、開け切らないまぶたを精一杯こじ開け、辺りを見渡す。そんなに広い部屋ではなかったので、音源はすぐに特定出来た。


ベッドの斜め上に配置された、和室にあるものと同じソファーにその人がいた。


「……うそだ」


愕然としてしまう俺。


そこには非現実な彼女がいた。


「失礼ね。人の顔を見るなり、私を否定しないで」


とアメリアは冷静な眼差しで俺を見据えてそう言った。


一瞬にして脳内に昨夜の一連の出来事がフラッシュバックする。そして出た結論。


「夢じゃなかったんだ」


俺は思い切り落胆を声に表して言った。