「それで、実際のところアメリアさんは何をしに家へ来たんですか?」


いよいよ俺は核心についての質問が出来た。


「そう。それよ。アンタのせいで事が遅れたわ」


俺のせいか?


「たしかこの辺に大量の記憶を肉体に宿した人間がいるから、そいつを悪魔から護るために派遣されたんだけど」


どうやらこのアメリアという女は異世界からの派遣社員らしい、馬鹿馬鹿しさに笑ってしまうのを堪える。


「で、その人間が家に居るんですか?」


と、取りあえず話を合わせる俺。


「ええ。たぶんこの辺りのどこかに……」


そこで俺とアメリアの目が合った。改めてアメリアの整った綺麗な顔立ちを再認して鼓動が早くなる。


さっき自分を子供扱いしていたが、実際アメリアも同い年くらいではないかと思う。


「もしかして……大量の記憶、……その中に一つでも情報が紛れていれば、あるいは」


また何かぼそぼそ独り言を話し始めるアメリア。


「もしかすると、アンタかもしれない」


俺は何が?とアメリアが言っている事の検討がつかない。


「私が護るべき人間がよ」


えーーーーーっというあからさまな反応をした方が良かったのだろうか。


しかし、俺の口から出たのは、へーという軽いものだった。